中古車の名義変更のポイントや買取、査定の基準価格となるオートオークション(カーオークション)の品質の認定、トラックや軽自動車も輸出する専門業者の裏話、中古車パーツが目的のリサイクルや廃車業者、自賠責保険や陸運局で調べられることなど、車の取引に関する業界の常識を詳細に説明
買取専門業者の査定価格はカーオークション(オートオークション)の車種・年式ごとの相場と連動しています。カーオークション価格はいわば中古車の定価なのです。中古車の全取引の80%はカーオークション経由であり、買取チェーンは買い取った車のほとんどをカーオークションで売却します。そのために査定価格はカーオークション相場と連動するのです
【 このページのテーマ 】買取専門業者の査定価格はカーオークション(オートオークション)の車種・年式ごとの相場と連動しています。カーオークション価格はいわば中古車の定価なのです。中古車の全取引の80%はカーオークション経由であり、買取チェーンは買い取った車のほとんどをカーオークションで売却します。そのために査定価格はカーオークション相場と連動するのです

買取専門業者の査定価格は「カーオークション相場 − コスト − 利益」で決まります。

その理由は、この業界の構造にあります。中古車業界は1970年、80年代からの急速なモータリゼーションの波に乗って拡大してきましたが、その頃の価格相場は地方単位の小規模なものでした。

市場が大きくなり、車種も増えて、需要と供給のバランスが不均衡になりました。欲しい車種、売りたい車種を調整するために、在庫調整の仕組みが必要になり地方ごとに 「組合系オークション」が発生し、ここを介して業者同士で在庫の融通しあうようになりました。

この後、企業系カーオークションが加わってさらに発展・充実してきました。このため現在も中古車買取業者はオークション価格を基準に値決めをする習慣があります。

車の査定の際にも、営業マンは自分の判断で最終価格を決めることはまずありません。かならず本部に連絡して指示を受けます。

本部は営業マンから車種と年式、外観、内装、機関の状態を聞き、それを基にオークションやオークネットの相場を見て価格を判断し、査定価格を指示します。

すでに説明したようにオークションの価格は車種と年式で単純に決まるのではありません。詳細な品質検査基準を加味して決まります。(詳細は 「保証モデルの確立」 )

ですから、営業の現場で簡単に商談できるようなレベルではないことはご理解頂けるとおもいます。

(買取業者の注意点)
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この構造からも明らかなように買取専門店との交渉では営業マンとの丁丁発止(チョーチョーハッシ)はあまり効果がありません。

妥当な査定価格は 「カーオークション相場 − コスト−利益」 で全国一律で自動的に決まります。このためどの買取店舗でも同じ事情になります。

店舗により差があるとすれば、それは駆け引きだけのことで、実需の差ではありません。

カーオークションの価格を推定し、その近辺の価格を提示できる業者が近所にいないかどうか、電話やネットで探すのが効率的な方法です。ただし、最初の値段はうのみにはできません。

車を査定してもらうには店舗へ持ち込むか、営業マンを呼ぶかになりますが、いずれの場合も査定価格は本部の指示通りとなります。

では交渉にあたって、どんな注意が必要になるでしょうか?次の各点を参考にして下さい。

@ メールの回答で来る概算金額はあてになりません。実際より高く提示するのが普通です。
それはセールスの原則(商談はNOから始まる)によります。うそでも何でも、まず会わないことには商談がスタートしません。
店に来させればあとはなんとでもなります。むしろ、一度がっかりさせてから、あとでちょっとだけサービスするほうが 「親切な店だ」 という印象になります。

A 業者が知りたいのは、あなたのこの業界に対する知識です。常識と数字をどの程度知っているかによって、どこまでの値引きが必要かを判断できます。基準はあくまでもカーオークション相場です。

B これは重要ですので別項を設けましたが、この業界には二重査定という慣習があります。契約後に査定金額を業者が一方的に変更できる制度です。契約書に明記されています。
詳しい説明はこのページTop左の "二重査定はある?" で説明しています。

(新車の下取り査定)
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新車ディーラーにとって、当初、中古車はお荷物でした。新車を売るための手段として引き取っていたものでした。

しかし自社販売網での中古販売の金額が増加し、一方で新車販売が頭打ち傾向になってくると、メーカー系販社の中でも "新車も中古車も同じビジネス" という意識が生まれてきました。

最近では買取専門チェーンを作るディーラーも現われてきています。

その先鞭をつけたのがToyata-Usedcar Purchase、略してT-UPです。CMにでてくる赤い鳥は 「あ、買取り」のしゃれだとか。

それを追うように日産も中古車販売部門 "NISSAN U-CARS" を、買取専門部門のカウゾー と販売部門のゲッチュー(GET-U)に分離しました。買取専門チェーンを強調するためです。扱い台数はすでに2万台を超えています(2007年)。

マツダをはじめそれ以外のメーカー系販社にも同様の動向があります。

このようなメーカー系販社の買取専門業界への乗り入れは当然、競争を激化させています。

仕入れ競争が激しくなれば、普通は原油や大豆のように価格が上昇します。ところがそうならないのが中古車価格です。原因は "買取価格はオークション価格から一定額を引いて決める" というこれまでの常識(習慣)にあります。

買取専門業者が顧客に提示する査定額の上限は、オークション価格から 「諸経費+利益」を引いた額になっています。この詳細は次項 の「買取専門業者」で説明します。

メーカー系販社が買取専門チェーンに加わったのなら、もう 「ディーラーの下取り査定額」と「買取専門業者の査定額」は同じになったのでしょうか?実際にはそうはなっていないようです。

それは次の理由によりますが、メーカー系販社の下取査定の短所といえるでしょう。

@ 『 新車の下取り査定 』のページで説明しているように、 「下取査定」は新車値引きを "どんぶり化" するための カクレミノ になっており、簡単には分離できないという事情があります。

A各車種のオークション相場は日々変動します。買取専門業者は、個々の変動にいちいち連動するのは不可能ですが、傾向には敏感に反応します。このため買取専門業者の値決めは営業マンではなく本部が行ないます。しかし新車ディーラーの下取査定ではこんな芸当はできません。

Bメーカー系販社には中古はお荷物という風土が残っています。成績の悪い営業マンが中古車部門に飛ばされた過去は、そう簡単には消えません。

(買取業者を複数呼ぶ)
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近頃、複数の営業マンを同時に呼んで競わせる、という方法があちこちのサイトで推奨されており、実践されている方もいるようです。

しかし、価格を決めるのは本部です。営業マン同士で競り合って高くなる、という読みは当たりません。

自分で相場を読めていて即決できる、というのであればそれもよい方法かもしれません。しかし知識がない方にはお勧めしません。通常、相手を高びしゃに呼びつけるということは、相手にも自分に対する高びしゃを許すという承認になります。ビジネスですから売る側も買う側も対等です。むしろ"売る側"が低姿勢をよそおうのが商売の慣習というものです。ここが新車の値引き交渉とは違うところです。
うやむやな知識で何度も呼びつけないほうが良いでしょうね。業者は 「呼びつけて」 もらえれば、チャンスとばかりに喜んで来ますが、相手に時間とコストをかけさせるのですから、対価(しつこさ)は当然求められます。

どの程度相場と常識を知っているかは、電話で話しているうちに相手にも伝わります。自分で調べた査定が正しければ、普通の交渉でも買取相手は見つかります。その方が確実です。知識がないまま、はったり(ブラフ)をかませると、外れたときに苦しくなります。

(この方法が安全確実)
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では、まっとうな方法で良心的な業者を捜しましょう。ただし、カーオークションへの出品を前提とする中古車買取業者であれば、どの業者の契約書にも二重査定条項があることは念頭に置いといてください。

ここで対象としているのは中古車買取専門業者と海外輸出専門業者です。後者はカーオークションに出品せずに輸出するために流通経路が異なります。これは別項で説明しますが、仕入れは一般およびカーオークションからですので、ここでは同様に扱います。

まずカーオークションでの実勢価格を調べましょう。もちろんこれは一般には公開されていないので推測になります。

一般の中古車売買業者はどの程度の粗利(アラリ)が必要でしょうか?厳密な計算式はともかく、大雑把なところ "売上−(仕入+固定費)" とすれば、売り側の業者(カーオークションへの出品)であれば売り上げの30%程度はほしいところでしょうね。

つまり、100万円で落札される車であれば70万円以下で買い取らないと赤字になるということです。

出品するのに10万円前後の諸経費が掛かります。オークション会場が遠ければ陸送費がアップしますし、人件費や店舗賃借料、資金コストなどを考えると純利益は数万円でしょうか。

一方、その100万円の車をセリ落とすのは中古車販売業者と輸出専門業者です。

中古車販売業者がこれを売る際の粗利設定は50%くらいでしょう。中古車を店頭で売る方が買取りよりもコストが掛かります。
その理由は次の通りです。

@敷地面積:買取業者と販売業者の店舗面積を比較してみて下さい。10倍以上は必要です。

A在庫期間:買取業者はすぐにオークションで売れますが、販売業者は在庫が必要です。

B回転資金:展示在庫を何台もつかで資金量がきまり、資金コスト(金利負担)が決まります。

C輸出業者は1がない代わりに輸送コストと為替変動リスクがあります。

このようなマージン構造であることが分かれば、オークション落札価格が大体分かってきます。買取業者が提示する見積もり額ではなく、こちらの価格を基準にして判断します。

近くの中古車販売店の店頭価格でもよいのですが、車種が限られますのでオークネットの楽天くるま市場の方が参考になります。オークネットはカーオークションと同レベルの品質検査を売り物にしていますから、ここの価格は車種・年式だけでなく品質も織込み済みです。

ただし、オークネットに出展している業者は店頭販売よりも当然コストが低いですから、粗利は30%前後に設定しているはずです。

もし同じ車種・年式の車が140万円前後で売られているのであれば、カーオークションの流通価格は100万円前後と推測できます。

そして買取業者があなたに提示する査定価格がさらに30%引きの70万前後であるのなら、それはほぼ妥当な範囲といえるでしょう。この価格に品質(キズなど)をプラス、マイナスして最終価格が決まることになります。Yafooオークションは車についてはまったく参考になりません。品質検査の裏づけがないセリは、仮に落札価格がついたとしてもそれを基準にはできません。資格を持ったプロ検査員の品質保証があるからこそ、カーオークションの価格は基準になり得るのです。

(オークション代行)
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オークション代行業者はUSSなどのカーオークション組織の会員になっている中古車売買業者です。会員でない一般ユーザーの車を代わりにオークションへ出品します。この業者数はまだ多くはありません。

オークション代行の粗利は買取業者よりも低いので価格的には有利なはずなのですが、ネックの一つは、手続きの中で委任状を預けなければならない、ということでしょう。

もし知り合いにオークション代行に依頼したことがある経験者がいて、紹介してもらえるような場合は、そのあたりの抵抗感も薄れるかもしれません。

もう一つの抵抗感は名義変更までの日数でしょう。これは代行業者の責任ではありません。カーオークションの規定です。

規定では、落札者は、オークション開催月の翌月末までに名義変更を終えることになっています。

この問題は、車を買い取った業者が一度自分の名義に変更し、それからオークションに出品すれば解決します。どうでしょうか。

同じことが買取業者に売った場合にもいえます。業者によって名義変更までの日数は4日〜2ヶ月とまちまちです。

買取業者の場合は、ほとんどが名義変更せずにカーオークションに出すので、オークション代行と同様に、カーオークションの規定通りの名義変更期間(2ヶ月)になります。

名義変更までの間に事故でもあったら、と考える人にとっては、(たとえ査定が高くても)頭の痛い問題です。

カーオークションを経由せずに販売店に渡った場合にはそこで売られて別の客に名義変更されるまでそのままにされるケースもあります。これは見過ごされがちですが大切なことなので 『 名義変更まで何日? 』で説明します。

(二重査定はあるの?)
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こまりますね、二重査定(再査定制度)。なんでこんな契約が有効なのかと思います。契約書を交わして判を付いた金額が手元に入らない可能性があるなんて、信じられますか?

けれども中古車買取店のほとんどがやっています。しかも、この条項の適用は、売り手と買い手の協議ではなく、買い手が一方的に価格変更できるのです。頭にきてキャンセルしようとすると、キャンセル料(違約金)をとられます。

実際には大手の業者のほとんどはそれほど大幅な減額をするわけではありません。けれども、"新車のとんぶり査定" と同様、悪用する業者もいます。

契約書にこの条項が 必要なわけは、"セリの品質保証" で説明した理由と同じ理由です。つまり、買取業者が査定した時にすべて把握できるとは限らないのです。

オークションの品質査定シートの百数十項目を埋め尽くさなければ、品質を算定できないように、中古車の品質査定は新車よりはるかに難しいのです。

また、カーオークションに持ち込むための登録段階になって、カーオークションの履歴によってその車の過去が明らかになるケースも少なくありません。

巻き戻し(詐欺罪)や修復歴偽装(悪質な過失)が判明すれば当然キャンセルですが、過去の品質査定シートを調べて、見逃した欠陥に気付く場合もあります。

この結果カーオークション価格が下がるのではその分を買い取り業者がカブることになるのでこの条項が必要なのです。

新車のとんぶり見積もりについては、このページTop右の「新車の値引きと下取り」 の 『 値引き交渉の順序 』で説明しています。
中古車の品質査定についてはこのページTop左『 セリの品質保証 』にあります。

(修復歴車ってなに?)
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修復歴車って何?・・・これも品質基準と同様に、カーオークションの用語です。

一般の方が想像するように修理や板金をしたから事故車? というわけではありません。事故車のことを、正式には「修復歴車」と呼んでいます。

以下の9つの部位を交換、修正、補修したクルマが「修復歴車」になります。これは、中古車販売連合会、中古車査定協会、各オークション会場での統一基準です。法律ではありません。

@フレーム(車台)

Aフロントインサイドパネル(ボンネットを開けたときの両側の側壁)

Bラジエターコアサポート(ラジエターを保護するフレーム

Cフロントクロスメンバー(フロントバンパーの内側)

Dダッシュパネル(運転席とエンジンルームの隔壁)

Eルームフロアパネル(足元の床の鉄板)

Fピラー(横の窓を囲っている柱部分)

Gトランクフロアパネル(トランクの底の鉄板)Hルーフパネル(天井の鉄板)

次のような場合は修復歴車(事故車)にはなりません。

・接触事故のキズとヘコミを直した。

・いたずらのキズを補修した。

・ぶつけられて、バンパーを取り替えた。

・ドアをぶつけて丸ごと取り替えた。

次のケースは「修復歴車」になります。

・ぶつけた際の衝撃で、上図の9つの部位が曲がったり、歪が発生した(修理をしていなくても、該当します)。

クルマを安く買うために修復歴車でないのに事故車という業者もいますが、修理工場に問い合わせれば記録が残っていますから、教えてくれます。修理したときは修理工場に修復歴車に該当するかどうかを確かめるようにしましょう。



(車台番号ってなに?)
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車台番号表示はすべての生産車に割り振られた製造番号です。重複は基本的にありません(一部輸入車に例外あり)。アルファベットと数字の17桁の文字列です。

生産時にボディに打刻され、車検証に記載されます。所有者が変わっても車台番号は変わらないので、クルマの個体を識別する基本情報となります。

カーオークションではこの車台番号を元に出品車をデータベース化しています。出品時の走行距離、修復歴。などの情報がストックされているため、落札後にメーターを巻き戻して広告に出したり、修復歴があるのに偽りの広告を出した場合には、この車台番号を基に履歴と照合すると巻き戻しや修復歴隠しが発覚することになります。

カーセンサーなどの情報誌には価格欄にならんで車台番号が表示されています。これによって、その広告が架空のおとり広告でないことを証明できます。

ただ、車台番号を全部表示すると 所有者の住所がわかるので(運輸支局で車台番号の登録事項証明書を取得すると分かる)、一部だけを表示しています。

(メーター巻き戻し?)
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メーター巻き戻しは簡単にできます。これが発覚した場合、昔は所有者だけが罰せられましたが、今では請け負った業者も同罪(詐欺罪)です。それでも根絶できません。

この業界に限らず、世間は 「目あき千人めくら千人」 の世界です。走行距離だけで飛びつく人がいる限りこの種の詐欺はたえることはないでしょう。

ですから自衛するしかありません。いかに簡単にできるか、いかに重罪になるかを見ておきましょう。

関東よりも関西のほうが活発に行なわれているようですが、アナログ式のメーターであれば素人でも簡単にできます。

まずスピードメータなどをおおっているプラスティックのカバーを精密ドライバーなどでキズがつかないように外します。するとオドメーター(走行距離の積算計)が露出します。トリップメーターのようにノブを押して走行距離をリセットする事は出来ませんが指で触れば簡単に戻ります。

デジタル式の場合は装置とソフトが必要ですが、大阪の日本橋界隈やアングラサイトで売っています。

実に簡単です。昔は有効でした。しかし現在ではかなりの確立で発覚します。オークションに出されれば過去に遡って100%発覚します。発覚したら刑法の詐欺罪ですから直ちに逮捕されます。

巻き戻しをしてもしなくても査定価格の差はせいぜい数千円〜1万円。知っていれば誰もこんなリスクを犯しません。それでも、常識を知らない人達をあて込んで、メールやアングラサイトが横行しています。くれぐれも引っ掛からないように御注意ください。

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