中古車輸出業者は、国内は買い付けだけで海外専門というところが多いようです。
その理由は同じ中古車を扱っていても国内と海外で業務内容が違い過ぎて、共通点がほとんどないからだそうです。
たしかに見積もり(インボイス)から受注、通関、船積み、請求と貿易実務はすべて英語ですね。
でも国によって車事情が違うので想像できないような面白い話しもあります。まずは 「白いクラウン」 のお話し。
日本の代表ブランド クラウンは1955年に誕生し3代目のCMで大ブレイクしました。有名な『いつかは乗りたい、白いクラウン』です。トヨタはこのCMで、それまでの 「高級車=公用車=黒」 のイメージを、 「オーナーカーの高級車は白」のイメージに変えて高級乗用車の不動の地位を獲得しました。それまで数%だった白い車の比率が1985年ころには約70%以上になり、2000年になっても30%です。ところがドイツでは白は1.5%と2%以下です(2006年 KBA)。日本以外のほとんどの国では白はオバケのイメージなので人気がありません(オバQも白)。ところが中古車天国の国もあるのです。ペルーでは白い車は未完成車とみなされて税金が大幅に安いのです。輸出業者は大喜びです。
また、法律で右ハンドル禁止の国もありますが、南アフリカ、タンザニア、ケニアなど、右ハンドルの国もあり、ここでは日本車大歓迎です。
なんといっても日本車の人気は丈夫なこと。安全率(強度計算の何倍の材料を使うか)が高いので丈夫なのです。たとえば日本の法律では10万kmで交換を義務付けられているタイミングベルト(エンジン内部にあるベルトなのでこれが切れると悲惨なことになる)、これも普通の走り方をしていれば20万kmでもめったには切れません。アメ車はそうはゆきません。アメリカの高速道路ではこれでダウンしている車が珍しくありません。
なかでも人気はカローラで、10年落ち、10万km超でも日本以上の値段がつきます。タフの象徴である4駆も人気で、オートマよりミッションが人気です。故障しても修理が容易です。
輸出業者にとって、最大のコスト削減は輸送費です。輸送は台数によって車両運搬船か40feetコンテナ(12m)で運ぶことになります。普通に積めば2台ですが、天井から前輪を吊るして詰め込むと3台乗せられます(50%コスト削減)。
輸出業者のHPをあちこち見物していろいろと愉快な発見をしましたが、極めつきはこれでした。 『 なるべく走行距離の多い車が欲しい 』 走行距離によって輸入税が安くなる国があるのです。
日本車なら10万km超でもあと10万kmは走れる車種は多いのです。タイミングベルト(材料費は5000円くらい)とフューエルポンプ(ガソリンタンクの中にある)を交換してやればカローラ、デミオ、ランクルなど、車種を選びさえすれば、ほぼ確実に20万kmは走れます。天然ゴムを使っていた20年前であれば水回りのホースや電気系統がダウンしましたが、それも今は昔の話しです。
日本人って "もったいない"を知らないのかなあ?と外国の人は思っています。
アメリカにはベンツ(彼らはマサダス:Mercedesといいます)を20万マイル走らせる同好会などがありますが、日本にもそういう長距離自慢の同好会が欲しいですよね。もったいない、の元祖なのですから。
ところで、一つ気付いたことがあります。輸出業者は手続き上、仕入れた中古車をすぐに自社名義に変更せざるを得ません。オークション代行のような委任状も必要ありません。査定価格が折り合えばの話しですが、売った後の手離れはよさそうですね。
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